元来、土地を手に入れて、それから注文住宅を造るという気はなかった。建築条件付きか、自由設計の新築ならあり得るかもしれなかった。それは土地と家をセットで買っているようなものなので、言わば建売住宅の変形タイプみたいな気分だ。
パートナーの実家近くに、彼女の叔父が土地をもっていたので、立地条件からそこを購入することにした。

が、そこは畑だった。
農地を宅地にするのは、面倒だということは噂に聞いていた。しかし、不動産屋さんからそもそも提案された話だし、それほどではないだろうと高をくくっていた。されど、やはり大変だった。結局、1年半ほどかかったろうか。迅速にいけばもっと短期間だったのだろうけど、関係者が多いので慎重な運びとなった。

土地が2つの領域を足したような形で、1つには小作権が付いていた。そのため、その補償の話を含め、現使用者から転用の許可をもらった。現状で植わっている作物があるので、それが収穫できてからという話になり、そこでまず日数を費やした。
次に隣接する複数の土地所有者全てから許可をもらった。それと、現所有者と私の書面を加えて、農業委員会と水利組合の会合で諮る。そうして承認が下りると役場で地目変更を申請する。この申請が平方メートル当たり幾らという有料なのだが、結構高い。そして、法務局の登記とはまた異なるのでよくわからない。固定資産税は市町村に払うので、税金的にはこちらが機能するのだろうか。
合わせて、畑なので明確な境界確定されていなかった。そのため、測量し、役場・隣接者立ち会いのもと境界確定した。またこれが当然だがそれなりに費用がかかった。
そこまでようやく済んで、売買契約をして、法務局に登記内容の変更(所有者変更)を完了した。しかし、それでもまだ法務局での地目変更はできていない。あくまで田畑の所有者が私になっただけだ。建築のタイミングに合わせ、法務局での地目変更。

ざっとこんな流れだったと思う。ほとんど不動産屋さんに動いてもらったので、実作業は少なかったのが実状だが、なかなか進まない焦りとかさむ費用が辛いところ。交渉とか、不動産屋さんの手腕が効くところでもあり、良い不動産屋さんと一緒にやれることが大切だろう。

畑を宅地にするのは、まだまだこの他にも難儀はある。擁壁の一部削除(道路より割と高い位置に土地がある)、上下水道の引き込み、電気の引き込み、ガスの引き込み(今回はプロパンガスなのでなかったけど)、土地内に設置されている自治会の街灯の移動、土地改良など……。

もし今後、知り合いが新たに農地転用して宅地にしたいと相談されたら、よくよく考えてしたほうがいいと助言すると思う。時間があり、後々でかかってくる費用との差し引きでよく見積もった方がいいと。私は今回いろいろ経験できて良かったが、コスト面でのメリットは多くはなかったのは事実だ。

hatake