工務店 VS ハウスメーカー(HM)。
注文住宅にするに当たって、まず初めに悩むことだった。結論から言うと、中堅のハウスメーカーを選んだ。それはそういう流れがあったからとも言える。自分の性格から言えば、社長の顔まで見えて地元に根付いた工務店に頼む方が、どちらかというと好みだ。

最初の頃、ハウスメーカーの物を見るために、住宅展示場へ足を運んだ。家の構造とか、気にしなければならないところを勉強しにいく面も多々あった。ハウスメーカーは技術説明もしっかりしてくれて粗品も幾つもくれるが、反面、特に決め手がないなあ、と。まあ、大規模で町のそこらじゅうに家があるんだから、ありがちと感じてもしょうがないけれど。純和風や非常に洋風な物、鉄筋を活かしたダイナミックな構造は面白かったのだが、自分の考えている家とは少し方向性が違った。そこらへんを主張しているハウスメーカーは想定以上に高いし。
私の理想は、現代の技術を取り入れながらもややクラシカルなジャパニーズスタイル。純和風でもモダンでもなく、中庸。

住宅展示場で面白かったのは、シアタールームと屋上。シアタールームは、屋根裏のようなエリアに、高さが1メートル50センチくらいしかない空間を作り、テレビとソファーを置いた感じ。引きこもり部屋にはぴったりだ。窓があれば密閉感も薄らぐし。が、いささか閉所の怖い自分にはやはり無理だったかもしれない。それから、屋上は少し田舎の場所でアウトドアを楽しむのなら、やはり魅力的だ。夕涼みや星空を楽しむ。庭先でも可能だが、視界が開けていると気分が全然違う。友人は雨漏りが心配だと言うけれど。

もう一つ、大手のハウスメーカーで気にかかっていたのは、坪単価の根拠が今一つ見えないこと。勝手な思いだが、間接費がすごく大きくなっている気がする。なので、この部材だからこの値段、この構成だからこの値段、という感触はついぞ得られなかった。

で、中堅のハウスメーカーにほぼほぼ決めた後に、工務店も当たってみた。たくさんあるのに、何も考慮しないのも残念なので。工務店は数が多いので、近隣の工務店に一気に資料請求できるようなサイトを利用した。そんなことをすれば、後から宣伝攻勢が激しいからあまりやりたくはなかったのだが、工務店はカバーしている地域範囲も限定されていて、ともすると的外れな調査になりかねないので。
40くらいの工務店の資料に目を通したような気がする。性根を入れて、一気に読んでみた。ほとんど技術情報がなく、自然素材や地元性だけを押しているところはパス。少し離れているなあと感じられるところもパスした。得意じゃないエリアで無理に仕事するのは、あまり良い結果になるとは思えないので。
そうして、5つくらいに絞れた気がする。その辺りは、ある程度資料でしっかり説明されていて、構造見学会や完成見学会があったりする。ダイレクトメールで社員の業務活動やプライベートのこと、建築の勉強会などの紹介などもあったりして、真剣さと親密さが良い印象。

結局、絞った5つくらいの工務店になると、中堅のハウスメーカーと価格面で見てもほとんど差がなさそうな気がした。そうすると工務店を選ぶ理由としては、地元密着型で長く付き合っていける、作る人の顔が見える、地元の材木などの材料を積極的に使う、無垢・自然素材系の建材に強いというところだろうか。一方、中堅ハウスメーカーの強みは、建築数の実績と経験から来る情報量と対応力、新建材のじっくりとした検証力、規模による建材の低コスト調達(と勝手に想像)だろうか。

私は、中堅のハウスメーカーを追いかけながら、後から工務店に当たっていったので、顕著な優位性を認識できない限り、工務店にする気にはならなかった。逆に進めたら、冒頭で書いたように、工務店を選んでいたように思う。もっとも私の場合、無垢材で全面覆われた家屋は綺麗すぎて変に落ち着かないので、そういうのを得意とする工務店に魅力を感じ得なかったということはあるが。但し、天井に走る立派な梁を見てると、無垢系・自然素材系の家は魅力的なんよなぁ、と。火事の懸念を除けば。

HMvsK