地盤改良は非常に懸念項目であった。元々畑であったので、土は柔らかい。昔ながらの土地で、小高い丘のようになっている。仮に畑用の土を入れていたとしても、人工的に盛られている量はほとんどないと思われる。しかし、長い歴史の中で岩盤の上にどれだけ土が堆積しているのか……。
この点に関しては、実際にハウスメーカーと契約を交わして、幾らか話が進まないと調査できない項目であった(ハウスメーカーによっては、契約以前に少額でやってくれることもあるようだが。OKだったら、契約してねという感じで)。つまり土地改良に費用がかかることが判明したからといって、じゃあ、地盤改良は止めとこうとか、建築そのものを止めとこうとはもはやなかなか言えないのだ。
心配がある土地なら、全く別に地盤調査だけ先にやることも有効な手段だ。そこで少々費用がかかってしまうが、その後にかかるものと比べたら非常にリスクが小さい。

岩盤が、かなり深いと、かなり高い。
というわけで、下唇を噛みながら地盤調査をしてもらったのだが、案の定と言おうか『地盤補強要』となった。どこも3メートルくらい下で硬い層に当たるのだが、その深さがバラバラとのこと。なので、それに合わせて、杭を打ち込んでもらうことになった。費用はざっと50万くらい。
覚悟の上とはいえ、実際にお金が出ていくとなるとなかなか辛い。この50万があればこことここにもっと費用をかけられるのに……と無意味な妄想で悩まされる。目に見えない部分にかける費用というのは、本当に難しい。別に江戸っ子ばりに見えない箇所を飾って粋を出すという種類の話でもないし。

辛い。

kui