住んでいる人間自体に屋根はあまり見えない。平地に家が建っているなら尚更である。だから、色は気にしても、種類はあまり気にしなくてもいいんじゃないかというのが私の意見だ(断熱性とか耐候性といった機能性は気にすべきだと思うが)。特に昨今のモダンなら家なら、標準的なスレート屋根でもよくマッチすると思う。
が、私たちの家はいささか和風テイストに振っている。そのため、屋根は瓦の方が合いそうだった。とはいっても従来の重厚な瓦を葺くのもいろんな意味で厳しいので、ケイミューの「ROOGA(雅)」を採用することにした。ちょっと高いけど。

強いて懸念材料を言うならば、ソーラーパネルとの組み合わせ。瓦なので凹凸がある。強度や安定性が減るとは思わないけれど、パネルと屋根の間の隙間がどうしても広くなるかな、と。最近、その隙間があまり美しくはないと感じている。異物も引っ掛かりやすいし。まあ、ソーラーパネルを設置した時点で、屋根の外観の魅力を幾らか削いでしまってはいる。瓦一体型のソーラーパネルもあるが、スレート調だし、デザイン的にもまだまだの感。瓦としてもソーラーパネルとしても中途半端さは否めない。

もう一つの懸念は色。今回、黒にしたのだが、いささかモノトーン過ぎるな、と。神社仏閣の屋根の味わいを深めているのは、一つひとつの瓦の微妙な色合いの違い。あるいは、反射され方の違い。色が黒で均一なものを使うと、のっぺりとしてしまいそうなのだ。かといって、灰色は少し色が浅すぎて好みではないし。
よく古い家で、瓦を一部補修したのであろう、色がまだらになっているのがある。狙ったものではないけれど、あれはあれで味があるなと思い、例えば黒と灰色の瓦を混ぜて施工することがあるのか、ハウスメーカーに尋ねてみた(ROOGA(雅)は瓦一枚当たりの値段が表記されてるので)。そうすると、そういうことはやったことがないとのこと。洋風瓦では、モザイク風に色の異なる瓦を並べることはある。どちらかというと、ファンシーなイメージ。が、和風瓦はないらしい。まあ、わざと古めかしく見せることもないからか。
そこまでいかなくても、新しい建材の瓦でも一枚一枚の揺らぎやバラツキを少し取り入れたらどうかなと思う。雲を見るような、青い海を見るような……。画一的な美しさよりも、私は素晴らしいと考えるのだが。

kawara