間取りについては、知り合いから2冊ほど間取りに関する本を借りたし、パートナーも狭小空間を広く見せる本を買ってきた。
パラパラと読んだが、検討し切れないでいる。キッチリ読むといろんなことが参考になるのはわかっているが、恐らく情報が有りすぎて懊悩すると思われるので、気にはなりながらも詳細に見れていないまま、ほとんど間取りを固めてしまった。

結局、全てを満足できる間取りはないのだろうと思っている。あまり広くない家では特に。例えば広くて幾つも部屋を作れる場合でも、じゃあ広いと今度は掃除が大変だし、移動距離も長い。何もかもの満足は無理だ。なので、妥協の重ね合わせでしかない。その点で言えば、目についた、あるいは今の生活で改良したいと思っているところは頭に入っているので、そこをまず優先して抑えておくのが吉と考える。後は諦め、諦め。

そんなわけで、私のコンセプト。

誰でもどんな年代でも住めるように。自分の先々でもあるし、親のことでもあるし、将来に手放す時のことでもある。堅苦しい表現だが、より住みやすい家の設計と受け取っている。この辺には、取得した福祉住環境コーディネーター2級の影響も多分にある。

  • 廊下を広く
    部屋を最大化するために、昨今は廊下を狭くしがちだが、圧迫感が否めないし、車椅子が通りにくい。
    下記も含めて、メーターモジュールの方が広さを確保しやすくなるので、メーターモジュールで最初から設計するのも手だ。私の場合は、尺モジュールで間取りを始めてしまったためもあり、尺をベースに拡張する方向で進めた。廊下にせよ、扉にせよ、自走の車椅子を考えると、800ミリ幅は少なくとも欲しいところだ。
  • 引き戸を多用
    開き戸はノブが向こうへ行くか、手前に開いた扉をかわさないといけない。足が悪いと使いにくいし、車椅子にはきつい。それに、開口幅が引き戸の方が広く取りやすい。戸袋が作れるかがポイントになるが、1階は多くを引き戸にした。
  • 玄関ドアを広く
    外観が和風テイストなので引き戸が合っていたのだが、引き残しがかなり多く、意外と開口幅が狭くなる。車椅子出入りに困難になるので、親子ドアとした。ちょっとデザインが引っ掛かりはしたけど。
  • トイレを広く
    介助できるほど広く取りたいところだが、通常の使い方では広すぎるし、ある程度広くするに留めた。2階とかは標準の大きさのまま。個人的には、狭い方が閉じ籠り感があって落ち着くのだが……。たまに海外に行くと、トイレ広くて落ち着かない。
  • 手すりをつける
    これはハウスメーカーが標準で大切なところにはちゃんと付けてくれた。素晴らしい。
  • 段差を無くす
    段差も標準設計でほとんどないので安心。
  • 和室を1階に設ける
    客間としても利用できるし、寝室にもなる。廊下に出る扉もあるので、リビングを通らなくても良い。トイレも近くにしている。
  • 玄関アプローチを容易にする
    これが唯一できなかった。80センチくらいの擁壁の上に建つ家であるので、道との段差は大きい。車椅子用に1/15くらいのスロープを作るには、12メートル以上の長さが必要になる。さらに道に出るまでに平坦部を数メートル確保しようとすると、とても空間がない。仕方なく6段くらいの階段になっている。正直、足腰が弱ると少々億劫になる段数だ。
    ここは、後日になるが、スロープを作る場合は、玄関から90度曲げて、折り返しのついたものを家に沿って作り込むのが手だろうと思う。あるいは、フェンスを少し削り、昇降機を付けることもこの高さなら何とか可能だ。

いろいろなところで主婦の動線などについて言われているのだが、それにはあまりこだわらないことにした。洗面所(洗濯機)とキッチンを近づけることよりも、洗濯機の設置場所と干す場所を近くする方が重要に思えた。もしキッチンの勝手口を外の物干し場へのアプローチとして共用するなら、重い洗濯物を考えれば、キッチンと洗面所は近い設計の方がいい。
私は感覚的に、バスルームのある洗面所のところは、リビングと離しておきたい。隔離されたゆっくりとした空間にしたいのだ。バスルームに出入りするのに、リビングを通らなくてはならないのは、いささか困ると思うので……。
その他もあまり意識しなかった。家に慣れてくると、家に合わせて動きができるようになるし。ただ、照明のスイッチだけは少し気を使った。明かりを点けるのに無駄な動きをしないように。

  • 風通し
    モデルルームで教えられたことが印象に残っている。部屋の風通しをよくするために、部屋には2つは窓をつけた方が良い、と。実際、マンション生活では角部屋でない限り、両側に窓がなく、風通しがすこぶる悪い。玄関開けっ放しも物騒な世の中だし。そこは不満であった。そんなわけで、設計段階でどの部屋にも窓は2つ付けている。
    ハウスメーカーによっては、1年中の建築場所の主たる風向きを考慮して、窓配置を決定することもあるらしい。
  • トイレの位置
    玄関からすぐに見えない場所にした。これはパートナーの要望。コンパクトに家を作ろうとすると、玄関近くにトイレがくることが多い。昨今のように廊下を小さくすると、必然的に玄関から見えやすくなるし。ちょっと廊下を折れ曲がった位置にした。
    古い家は、トイレが玄関の真横で、確かに出にくいことがよくある。だが、尾籠な話で恐縮だが、漏れそうになりながら外から駆け込んでくるには便利だ。
  • 廊下を明るく
    初期設計では、階段が中央だったのだが、これだと常時明かりが必要。消すと暗さ感が残る。なので、端にもってきて窓を付けてもらった。この廊下に限らず、採光の窓を小さくても上の方に付けておくと随分と家は明るくなると思う。できるだけ、昼間は照明を点けない生活が良いと思う。
  • リビング階段にしない
    リビング階段は、全館冷暖房でない限り光熱費的には不利だと思うし、自立した生活としてもどうかなぁ、と。リビングを常に通過する、というのが使いやすいかと問われれば常々疑問に思っていたので、私はリビング階段にしなかった。

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