中学生だかの頃、あまりにすることがなくて、野鳥園まで自転車を飛ばして、据付の双眼鏡で港に降り立つ野鳥をひたすら眺めていたことが時々あった(寂しさが募る)。あんまり数がいなくて、やっとのことで茂みにいる野鳥を見つけていたのを覚えている。無料の野鳥園だったので自転車で行く限り、お金が全くかからないのは実に良かった。難点としては、遠く遠くに鳥がいるので、鳴き声はさっぱりわからない。双眼鏡を眺め続けていると、口上のない覗きからくりでも見ているようなというか、現実感に乏しかった。

それはさておき、巣箱を作ると鳥が入ってきて棲みつく、という漠然としたイメージがある。が、野鳥の巣箱を作って、本当に巣を作ってくれるというのはあるのだろうか? 最近そこいらで実際に稼働しているのを見たことがない。それに、木の洞とかに棲む鳥しか来やしない気もするし。そもそもうちには鳥の巣箱を設置できるような高い木はないのだ。
そんなわけか、こんなわけか、家族が『野鳥に餌をやる台が欲しい』というので、庭に作ってみた。こんなものがあっても、カラスや鳩が大量に舞い降りない限りは、まあ害にはならないだろう。しかし、どんな台を作れば良いのかよくわからない。ツルツルの台よりも木の枝の集まりのような台の方が、鳥にとっては過ごしやすいのかもしれないが、餌が置けないので、フラットなMDFの板にした。それを余っていた杭の上に固定。腐ると面倒なので一応微かに残っていた柿渋と、余っている亜麻仁油で塗装した。

で、生米を台の上に撒いてみたのだが……よくわからん。見ていても鳥の来る気配はないが、忘れた頃に見てみると台からはすっかり米がなくなっている。風で台から吹き飛んだ様子もない。うーん。
しかしまあ、珍しい鳥が来訪してくれるのを楽しみにしてはいる。もっとも最近、すっかり家族は餌の台を忘れがちだが。但し、来られたら来られたで、またどんな鳥かを知るのに悩みそうだ。かつて育んだはずの鳥の名前に対する知識はまるで思い出せない。ジュウシマツ、トドマツ、カラマツ……何か違う。そして、決定的に鳴き声を知らないので、結局何の鳥かはさっぱりわかりそうにない。一体、我々は何を待っているんだろう? 飢えた小人の宇宙人か?
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