シャッター商店街と称するように、家屋の『シャッター』という言葉には何かしらの物悲しさが付きまとう。全てはあの金属的で無機質的な風合いが原因なのかもしれない。だからシャッターはもっと華やかな楽しげなものであって欲しいと思う。例えば、とある家の滅多に下りていることのないシャッターには、とびきりキュートでファンタスティックなキャラクターが描かれていて、毎日通学でその前を通る女子高生がたまたまそれを見れたなら、一日幸せでいられるというような。あるいは、今日の天気やトップニュースが流れるシャッターというような。あるいは表面には室内のリアルな風景が描かれていて、下りていても全く気が付かないほどのナチュラルすぎるシャッターというような。
はたまた中の人間もまたシャッターを下ろすのが楽しくなるように、ある特定の順番でシャッターを下ろすと秘密の階段への扉が開き、奥にはナニカが隠されているというような……。とにかく、シャッターを下ろすという行為にもっとポジティブ感が欲しいと思う今日この頃。

というわけで、普段でもあまり1階窓のシャッターを下ろすことがないのだが、相手が台風となると話が別だ。窓が風に耐えられないことよりも、何かが飛んできて割れるほうが心配。さあ、そこで問題になるのが2階の窓だ。我が家の2階の窓には一切シャッターがない。地域の新しめの一軒家を見ると、2階の窓にもシャッターがあるのはまちまちで半々というところ。建築業者の方針次第という感じがする。
個人的には2階の窓(少なくともベランダにある掃き出し窓)にシャッターを付けるべきかは悩んでいた。付けると防犯上は良さそうなのだが、昨今の薄型とはいえ、シャッターの出っ張りは何かすっきりしない。結局、シャッターを閉める頻度とコストとの兼ね合いを主な理由として、全ての2階の窓への設置は見送っていた。

しかし、今年の台風を味わうと再考してしまう。洗濯機の中みたいに、いろんなものが空中を飛び交っていた。いつ破壊的なものが飛んでくるかわからない。まあ、早々ヒットするわけでもなく、2階の窓は無事で済んだのだけれど、もし割れて部屋の中がびちょびちょのぐちゃぐちゃになることを考えると、台風相手にはシャッターが欲しいな、と思った。

ただ、格子窓にしているところや、細長い窓にしているところもあり、全部は不可能だ。それに仮に全ての窓にシャッターを付けてしまうと外の様子が全くわからなくなる。それはそれで安全性や状況判断の観点で良くない。

シャッターではなく、必要な時に何かこう網戸のようにさっと被せられる、透明な防護フィルムのようなものをガラス前面に張れたらいいと思う。できれば物凄く薄くて普段は小さく巻き取られているのに、一度張ったらまるで低反発枕の如く衝撃を吸収するという……。それなら、外の状況もわかるし、窓の美観も損なわない。カッターとかですぐに破られそうだから防犯には大して効かないだろうけど、もし破れる時には激しい音がするなんてものだったら、防犯力も出てくるかも。この辺の更なる進化を未来に求めたい。

悩んでいるうちに次の大型台風が来た。今度は眼前の剥き出しで止めてある車が心配になってきた。やっぱりバリアが欲しい。ATフィールドじゃなくていいから。

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ノーシャッターである
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格子窓は防御力がそこそこある
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掃き出し窓はベランダに奥まってはいる