私は閉所恐怖症だ。空いているエレベーターなどは何ら問題ない。しかし、ギュウギュウ詰めのエレベーターになると、途端にあせる。要はパーソナルスペースを越えてくると不安が一気に増大するわけだ。また、恐怖は想像力とも関係している。「私は地球に閉じ込められている」と想像した時には、わずかな閉所恐怖症がくすぐられるのを感じたりする。
おまけに暗所恐怖症でもある。一度ベトナムでベトコンの作った地下通路を見学することがあって、その地下通路の中で前後人に挟まれにっちもさっちもいかなくなった時は、本当にどうなることかと。
さらに水もいささか怖い。泳ぎも不器用にはできるし、水族館も好きだ。しかし、どでかい水槽の上から下を眺めるのはゾッとする。滝壺の底知れぬ深さへの恐怖にも類似するというか。

そんな前置きを経て、金魚を飼うことについて。青天の霹靂で新金魚が3匹我が家にやってきた。どうやってエビを買おうかと思案していた矢先である。もはや手持ちの水槽ではどうにもならない。そのため、新たに水槽を購入することにした。しかして、でかすぎる水槽はメンテナンスできないし、置き場もない。困った。
結局、微妙なサイズを狙って、水槽にグラステリアスリム600(GEX)、上部フィルターにトリプルボックス600(寿工芸)を買うことにした。インターネットで勧める人もいる構成で、重くはなるがガラス製の見映えの良いものにした。これでも頻繁に掃除は大変なので、できるだけ苔が生えないように、これから熾烈な戦いが始まるのだ……。

置き場は当初2階の寝室の予定だったのだが、パートナー提案により、1階の廊下になった。車椅子でも生活できる設計にした関係で、たまたま廊下が広い。物を置いて狭くするのは好きではないが、インテリアとしてならあり得る。もっとも、人の目に触れる場所なので、日々水槽を綺麗にしておかないといけないというプレッシャーはきつい。コケが……。
結局のところ、なんやかやで30キロは越える重量なので、台としてはしっかりした家具を選んだ。水槽専用の台も売ってはいるが、合板感がちょっと強くて。美しくかつ機能的に飾るのはなかなか難しい。それにしても金魚3匹でえらい出費だ。

そんなわけで、今は金魚が4匹、シマドジョウ1匹に石巻貝2個が共同生活を何とか始めた。残る問題は2つ。一つは去年から棲みついている巨大化したコメットをそこに入れるかどうか。影響が尋常ではなさそうで躊躇っている。しばらく生態系を安定させてからか。そして、もう一つは水草。理想を求めると、金と手間がちょっと。経験も少ないのでとりあえず小さなところからコツコツと。

折角やって来た生命、元気にやっていってもらいたいと思う。それにしても、閉所で暗所で水に囲まれても、金魚たちは平気で生きているのだ。惜しみない尊敬の念と、自分だったらとてもやっていけないだろうなという怖さと。
いろんな形で予想外に家族は増えていく。逆に予想外に家族が減っていくような事態もあるだろう。それらを意識した家づくりも大切なのだと感じさせる秋の夜。

aquarium_and_shelf
最初は綺麗なのだ、いつも……