生まれてこの方、犬猫の類を飼ったことがない。だから、そういうものが傍にいる生活がどんなものなのか、詳しくは知らない。ただ、近隣の人が雨の日も風の日も毎日毎日飼い犬を散歩に連れていっている姿を見ると、やるせない思いをいささか感じてしまう。実は猫を飼うことには興味があるのだが、親族にアレルギーがあったり、家中の掃除を小まめにする必要がありそうだという点で、現実的に考えてはいない。

そういったところで、新しく家を作る際には動物を飼うことは考慮に入れなかった。もし、検討するとすれば、犬小屋の配置に配慮した庭の設計とか、猫の出入りできる小さな出入口を作ったりとかしただろう。しかし、この間、例えば猫の出入口を作るとしたらどうしたらいいだろうと考えてみたのだが、虫が入らず熱の出入りを極小化し、かつ安全なものというのはなかなか難しい。設計段階からしっかり作り込んでおかないと、後日窓を少し改造するだけでは理想には近づけられそうもなかった。
そうかと思うと、鳥は室内の籠で飼うならあまり考えなくても良い気がするが、鳥籠をいろんな場所で天井から吊れるようにしておくと楽しいかもしれない。外だと庭の木が立派にあれば、巣箱を付けるのは自由にできそう。ツバメは他の記事でも少し書いたけれど、外壁の種類によっては作りにくそうにしている。ポーチライトのような取っ掛かりの台があると綺麗に作ってくれそうだ。しかし、直下でのフン害をどうにか考えてやらないといけない。

唯一、前の住まいからウチにいたのが金魚とメダカ。小動物の類に入るのだろうか。こやつらの住まいは家づくりの中で考慮に入れていた。特にメダカはベランダのケロリン洗面器で飼っていたので、この機会に少しバージョンアップせねば、と。
まずメダカについては、古い手あぶり火鉢をネットオークションで入手。骨董品屋も幾つか廻ったのだが、手頃な大きさと値段のものがあまりなく、ネットオークションのほうが遥かに種類が多かった。オールドノリタケ(とされている)高さ30センチくらいのものだ。すごくメダカ飼育には適しているのだが、水草の繁茂が激しすぎて、もはやメダカが観賞できはしない……。
置いた場所は和室外の濡れ縁、縁側だ。これは餌をやるのにわざわざ家の外に出なくても良いようにという配慮だ。縁側に座って、たまにはじっくりと観賞できるし(繰り返すが水草の繁茂でメダカは見えない……)。ここ以外ではなかなか良い場所がない。水槽の多い人は、専用のスペースを考えた方が良いかもしれない。
もっとも、この春にメダカが繁殖し過ぎて、手あぶり火鉢の中が東京のラッシュアワーみたいになっていたので、現在はさらに拡張している。室内観賞用の20センチ角くらいのプラスチック水槽と、パートナー実家より入手した外径60センチくらいの睡蓮鉢。しかし、プラスチック水槽の方は水替えの際、水質汚染をやらかしてえらいことになり、ただ今休止中。片や睡蓮鉢の方は、田舎の川で掬ってきた名も知らぬ小魚とメダカ、それに小さな鉢に入れられた新たな水草たち。これらの水草たちは一応、ビオトープを目指して。ただ、ここでも旧来の水草がどんどん幅を利かせ始め、やや悩みどころ。全部取っても良いのだが、メダカや小魚にとっては格好の隠れ場所のようだし、水の蒸発も抑制できるのでなかなか踏み切れない。
それでもやはり口の広い睡蓮鉢は、上からの観賞には適している。手あぶり火鉢は格好良くて場所を取らないが、うーん、鉢の中の空間で住んでいるんだな、と想像するだけに近い。この睡蓮鉢も濡れ縁の反対側に置いてある。

そして、金魚である。1年数ヶ月で見事成長を遂げたコメットと琉金。大きくなっても昔のままの水槽(幅40cmくらい)で生活してもらっているのだが、これをどこに置くかなのである。静かなタイプの外掛け式のフィルターを付けているのだが、それでも割と振動音がする。おそらく、水槽自体が振動して音を出している。だから、どうやってもなかなか音が小さくならない。そのような状態でどこに置くべきか。家づくりの中では一旦、ベランダか1階テラスの下に置けるように配慮した。どちらにも防水コンセントを備えるようにしたのだ。しかし、こやつらは横から観賞しないと面白くない。下に置くのは何だかなぁ、と。
結局、今は寝室の窓際に置かれている。出窓のように壁から窓が奥まっていて、前に台があるからだ。朝日は当たるが全日日射するわけではない、真にぴったりな場所だが、音がやかましい。寝室を使わず和室で寝ているのでいいが(1階生活が便利)、寝室で寝るようになったら……悩みである。
もう一つの手は玄関の下駄箱上に置くこと。玄関に水槽を設置している人は多い(その分、綺麗にしておかないといけないプレッシャーがあるが)。壁一面のフラットな下駄箱ではなく、何らかの飾りや物の置ける台が形成されている場合は、玄関置きも考慮できるだろう。しかし、家づくりの中でそこは配慮していなかったので、コンセントが近くにない。これが残念だ。是非、台の横にはコンセントを作っておくべきだ。消臭とか、防虫で電力が必要な物も設置したくなるかもしれないし。

そんなわけで人間以外との共生まではなかなか上手くいきそうで上手くいっていない。それでも、子どもが成長していくにつれて、いろんな生き物がまた共生にやってくるだろう。四苦八苦しながら、何とか皆が快適な環境に改善していくしかあるまいのだ。

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手あぶり火鉢⇒メダカ
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睡蓮鉢⇒メダカ、名も知らぬ川魚
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普通の水槽⇒金魚たち