外壁の悩ましさは、ポピュラーさにあると思っている。どこにでもあるほど人気の柄や色を選ぶのは手だが、いささか残念ではある。一方で、どこにもない柄や色だと、奇をてらい過ぎなのではと心配してしまう。建ってみないと最終の雰囲気はまずわからない。モニター上のシミュレーション画像では何か掴みきれない。家の中だと妥協と諦めで住むが、人にさらけ出す外壁は……。
とは言うものの、住んでいる人自身はあまり外壁が気になるものでもないし、他人は他人で、他所の家の外壁にはそれほど固執しない。こんな家もあるんだ程度で、印象には残るが否定はない。
だけど、悩ましい。

もう一つ考えることは、周囲との一体感。奇抜な設計の家が並ぶ高級住宅地ならまだしも、普通の町や田舎の方なら奇異な柄は合わないし、先々の近所付き合いにも関わる。まさに、私たちの家はどちらかというとのんびりとした、昔ながらの町に建てるので、そこそこ古い家々との調和を取らねばならない。
そんなわけで、私たちの好みも含めて、和風スタイルの外観を目指している。

また、少し本の中には、新興タウンのような町で、近隣の家々と色合いを合わして町づくり……というようなことが書いてあったが、正直これはどうかな、と。同じ色系統だと、まるでコンセプトの薄い建売住宅ばかりに見える。街としての面白さがない。料理の彩りみたいに、程よいコントラストは必要だと思う。

壁は窯業系サイディングだ。塗り壁は、コスト、汚れ度合い、メンテナンス性の点から外した。勿論、塗り壁の何とも言えない風合いは魅力だ。最近は汚れにくいのかもしれないし。しかし、いつか来る塗り直しの費用がどうしても怖い……。

和風スタイルに大切なのは、木目(とも限らないが、入れたかった)。ニチハとケイミューの外壁を詳細検討する中で、やはりニチハの方が木目には強いな、と。種類が豊富なのと、いろんな木材・木目の雰囲気を上手く出している。が、これでないと!と言うまでの柄と色が見つけ切らなかった。一方で、もう一つの柄として入れたいボーダー柄については、ケイミューの方が圧倒的であった。
ここでポピュラーさが出てくる。ニチハの木目はよく使われる。なら、まず被らないケイミューの木目の方が良かろうと。そして、ボーダーと組み合わせる。

結果的に、ケイミューの『セフィロウッド』のスモークチタン色を木目に、『シュトラール』のベージュ色をボーダーにした。ショールームに足を運び、家でサンプルを何度も光にかざし、パートナーとの意見を激突させての結論だ。
が……『セフィロウッド』のスモークチタンが世間ではほとんど見かけない。サイトにもあまりサンプルがない。少ない領域でワンポイント的に使ったものくらいだ。
この組み合わせ、大丈夫なのか? これは今や実験に近い。楽しみでもあり、いささか心配でもある。『セフィロウッド』は杉の板目のような柄だが、私としてはちょっとパターンキツすぎやしないか、と思う。まあ、壁としては、それくらいアクがあった方が良いのかもしれないが。

配置は、上下で柄を分けて、下に木目、上にボーダー。下に濃い色をもってこないと、どっしりとした趣きが出ない。逆だとフワフワした感があって。そして、木目は縦張り、ボーダーは横張り。このラインの90°変化に違和感が出るかどうか。『シュトラール』のボーダーはあまり深くなく、目立つものではないので、大丈夫だとは予想しているが。
最近の家は、壁面の一部に、縦に色の濃い外壁を使ったりしている。モダンな感じはそちらの方が出ると思う。私たちの場合は、ややクラシックなスタイルを踏襲することもあり、外壁下部はぐるりと一周同じ種類にした。上部も同じだ。

きっと出来上がったら、少し思っていたのと印象が違うのだろう。でもまあ、それも一つの楽しみとしたい。

nurikabe