カマキリは嫌いじゃない。いや、子供のころは麗しきバッタたちを食い荒らす、ある意味憎らしいキャラにも感じていた。半面、あの凶暴ですと絵に描いたような顔はまるでティラノサウルスを思い起こさせるわかりやすさと力強さ。それでいて、コミカルに動く首は、凶暴な相を示すだけのスズメバチよりはどこか愛着が湧いてならない。

さて、何が言いたいか、ということなのだけれど、我が家の庭にはたくさんのバッタや昆虫が棲んでいる。それとともにカマキリも元気に生息していたが、夏過ぎて秋来たるらし。いよいよカマキリも産卵し、来年また新しい命が息吹くのを楽しみに待つばかりとなった。去年は、園芸用の支柱が庭に立てかけてあり、それにご産卵遊ばされたのだが、今年はその支柱がばったりと倒れていた。まあ、立てかけておく必要がなかったので倒してあっただけだが……。

その支柱は緑色でまあ、無理に見れば木のようでもあった。その木が失われた今年、彼らの興味は外壁と濡れ縁へ。確かに外壁はセフィロウッドのスモークチタン色で、木目柄だし、濡れ縁も木製だ。なぜかオリーブの木には(本物なのに)目もくれはしなかった。そういうわけで、そこらここらにカマキリの卵が。計3つもできてしまった。無理に剥がすと外壁を痛めるので(セフィロウッドはインクジェット印刷で、捲り上げる力にはいささか弱い)、そのまま残しておく手もあったのだが、いずれも和室の掃き出し窓に近く、万が一の場合、孵った後に家の中に入り込む危険があるのだ。
その昔、子供の時にこんな事件があった。カマキリの卵が孵化し、玄関先に置いていた網カゴをすり抜け、体調数mmに満たない小さな無数のカマキリが整然と並んで家の柱を登っていた。それはまるで『今週の何とかロボ発進!』という往年のアニメを彷彿とさせるような美しい行列だったが、その量たるやシャレにならなかった。

そんな思い出から、さすがに家への侵入は避けねばなるまいと、外壁や濡れ縁に接触した部分の表面を少し残した上で、3つをゆっくり剥がして瓶に集めた。そして、濡れ縁の片隅に置いた。勿論、このまま春を迎えれば余計にやばいのだが、まあ春までには何とか庭の隅にでも移動させよう。
持ち家になると、いろんな生き物のことを考えねばならないなと思う昨今。

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集めていらないコップに入れた
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外壁の卵を外した後
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濡れ縁の卵外した後