ツバメが巣を作り始めて3年になる。家を建てた直後の5月からだ。まるで図ったかのように、だ。しかし、その建築は遅々として進まず毎年途中で工事が中断されてしまう。まるで道路の拡張工事のように、だ。ある意味では半年で建った我が家に比べて、もっと高度で綿密な工法なのかもしれない。
それが今年はついに十分な広さの部屋が完成したようだ。時折、雌(だと思う)のツバメが巣の中に居座っている。これから子作りに励みなさるのではなかろうか……。
だが、下は濡れ縁。糞が落ちればギリギリ端にかかるだろう。防腐塗装はしているとはいえ、木の腐食が心配ではある。受ける物が必要だ。しかし、人類史上、決まった道具はないように思える。アンティークでモダンでキュートで和の趣と侘び寂びのある、濡れ縁に見事にマッチしてインスタ映えしそうな糞受け鉢なんてものがこの世にはないものだろうか。しかも受け取った大量の糞を再活用できてバイオマス発電できそうなやつ。ツバメの巣一つでもしゼロエミッションハウスができたら画期的だろうな。ツバメとの共存共栄。
そんなこんなで毎朝様子を見ている。糞の心配をしながらも、3年目のツバメくらい大目に見てる。

……が、数日が過ぎて、ツバメが寄ってこなくなった。今年も巣物件は完成検査を通らなかったのかもしれない。ツバメの家づくりはかくも難しいものであろうか。はたまた生活環境が予想より悪いのか。
夢の共生はまだまだ遠い。

……と思ったら6月も半ばになって、3日に一度ほどまた棲みつくようになった。うーん、別荘なのか。若いカップルの隠れ家なのか。
子育てまで進行するか、見守る。

巣は少しずつ成長してきてはいる。質素だ。